誕生の瞬間と共に消失が始まる本当の自分

色による自己実現 
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彼らは、気が沈むとか不眠であるとか結婚生活がうまくいかないとか、仕事が面白くないとか、種々そのような悩みを訴える。

彼らにある特殊の症候が彼らの問題であり、しかもこの特殊な悩みを取り除くことができるならば、彼らはよくなると信じている。しかしながら,これらの患者は通常彼らの問題が抑うつとか不眠とか仕事とかの問題ではないということが通常わからない。

これらの種々な訴えは我々の文化が、根源は、もっと深いところにあり、自分たちはある特殊な症状に悩んでいると意識的に信じている種々の人々に共通しているあるものを表現させるところの意識的な形に過ぎない。

この共通した悩みというものは、自分自身からの疎外であり,自然からの疎外である。

生が人の手から砂のようにこぼれてしまう、また本当に生きることなしに人は死んでしまう、人はありあまるものの最中で生活するけれども、しかも本当の喜びがないというような意識である。

erich fromm

自分自身からの疎外とは何か?

ここで言われている自分自身からの疎外とは、本当の自分からの疎外を意味します。

私たちは皆、本当の自分、生まれたての全く純粋な形から成長するにしたがってどんどんと遠ざかっていきます。

人間というのは、この世に生を受けて、それで私という完全体に向かって成長していくとそう考えるのが普通ですが、でも、実際には完全な状態で生まれてきて私たちは、この世界にある自然法則に従って、徐々に不完全な存在へと変化していきます。

つまり、自分であった状態から、私たちは大人になるにつれて自分ではないものへと変化していくということになります。

自分であったものから、自分ではない何者かへと時を経て変化していきます。

その中で私たちは本当の自分、ありのままの最も純粋であった自分に徐々に近づくことができなくなっていきます。

冒頭に書いた人間が持つ様々な身体的、精神的症状とは、言ってみればこの最も純粋な自分からより遠くに離れてしまったことに原因があるということになります。

ここでいう最も純粋な自分とは、私の考えから行くと光(色)のことになります。

私たちは光そのものでした。けれど、その光が誕生とともに段々と消えてなくなってしまっていき、今や、その自分の中にある光(色)を認識しようとも認識することができない。

冒頭に自然という表現もありますが、これがまさに色(光)のことを指しています。

自然からの疎外とは、色(光)からの疎外

私たちは、この世に誕生したその時から、徐々に自分を失っていきます。

失っていくからこそ、それがわかるからこそ、私たちは必死にこの世界で自分というものを作り上げていこうとするわけです。

元は、完璧な状態で生まれてきた。

ならば、それを維持する方法を考え、それを実践するほうが賢明であると考えますが、人間はそうは考えませんでした。

消えてなくなるのなら、その消えてなくなるものを自分たちの力で作りだせばいいと考えたというわけです。

つまり私たち人間は、自分たちにとってどれだけ大切なものを失ってしまったのか?それを認識することができなかったということになります。

消えてなくなるのなら同じようなものを作り出せばいい。

つまり、私たち人間が失ってきた自然、色(光)とは代替可能なものだとそう私たちは判断したということになります。

これは完全なる人間の傲りです。何もわからないから、価値はないとそう決めつけた。そして、それらが自身の中から徐々に消えてなくなることに対してもそれほど意識的にはならなかった。

だから、今があります。

生命誕生とともに失われていく光(色)(私)をどう維持し守るか?

これはとても難しいテーマになりますが、まず私たちが考えなければいけないことは、私たちが最も完全な状態で生まれてきて、その完全なるものはこの世界の自然法則によって何もしなければ壊れていくということを知ることです。

そしてその自然法則によって壊れてしまったものは、私たち人間には絶対に作り出すことは出来ない。

それは代替不可能であるということ。これを私たちは知らなくてはなりません。まずその理解がなければ何も進むことは出来ません。

私たちはこれまで自分が持っていた認識、それを大きく変えなければいけません。

何度も言いますが、私たちはより完全なものに向かって生きているわけではありません。

そう思うのは、皆フェイクです。私たちは確実に誕生とともに死に向かう生き物です。

この世に誕生し、そして完全なる形を手に入れ、そして死を迎える。

それが人間の姿だとそう思っているのかもしれませんが、実際は違います。私たちはこの世に生まれて間もなく死にます。

これは精神的な死を意味します。

そしてその死んだ精神、魂をこの自分で作り上げた分厚い肉で覆って生きているにすぎません。

自分の死んだ魂、精神、光(色)、私、これを自らが作り出した分厚い肉で覆って生きているこれが今の私たちの現状です。

私たちはこの死んだ精神、光(色)、私自身、これを取り戻さなくてはいけません。

それには、まずは自分の中の最も純粋な部分が肉によって汚され、見えなくなってしまっているということに、完全に死んでしまっているということに気がつかなくてはいけません。

私たちは、生まれてきたものは必ず死に向かうというこの自然法則に抗い生きていかなければいけません。

自分を生きることを完全に放棄するのではなく、自分の心、精神、光(色)、私自身、これらを自分の努力で維持することは可能です。

この維持こそが、歴代の偉人たちが唱えたヒューマニズムの回復にあたるものです。

私たちは自分の中にある光、最も純粋な部分、これを自らの力と努力によって常に拡張しつづけていかなければいけないということになります。

それには、自分が持っている12の色、その性質、特質などを知るということが何よりも大切なことと考えます。

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