精神エントロピーの増大と色の減退

色による自己実現 
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エントロピーの法則とは何か?

エントロピーの法則というものがあります。このエントロピーの法則を簡単に説明するなら、まずはコーヒーにミルクを一滴たらしてみてください。そうすると、コーヒーの中に落ちたミルクは外側に向かって広がっていきます。

外に向かって広がっていったミルクがコーヒーの中に落とした最初の一滴に戻ることはありません。一度コーヒーの中に落ちたミルクはどんな力をかけようとも決して元に戻ることはありません。永遠に外に向かって広がっていきます。

このエントロピーの法則とは、つまりは一度始まったものは、永遠に増大していくということを表しています。

一度コーヒーの中に落としたミルクが、自らの力をもって落ちた時の一点のままにコーヒーの中にとどまっていることは出来ないということになります。

これが何を意味するのか?というと、エントロピーとはつまり乱雑さを表すものであると考えてもらえばいいかもしれません。

何事も動きだしたものは、より複雑で乱雑な形になっていくということです。自らが力を持たない限り、どんな現象であれ、始まってしまえば、それはみなエントロピー増大の法則に従って、より複雑で乱雑な形になっていくということになります。

エントロピーの増大とは何か?

エントロピーの増大とは、物事がより複雑で乱雑になっていく、つまり混沌(カオス)化を意味します。

この世界はみなこのエントロピー増大の法則に従って、すべて生まれるものはみなこのエントロピー増大の法則によってより複雑化し、混沌と化していきます。

そしてその混沌の果てにやってくるのが死ということになります。

このエントロピーが増大すると、秩序だったものから離れ、より混沌に向かって進んでいくようになります。

エントロピーの増大とは、自分の努力失くしてその動きを止めることは出来ません。この外に広がっていこうとする力は、決して何もせずに維持することは出来ません。

何もしなければ、それは確実に外に向かって広がっていき、その対象は壊れてしまいます。

コーヒーにミルクを注ぐ

エントロピー増大と色の関係

このエントロピーの法則は、私が扱っている光(色)にも全く同じことが言えます。

今の私たちは、どの記事でも書いているようにこの自分の中に内在する光(色)というものと完全にその関係性を絶ってしまっています。

この現象をエントロピー増大の法則を使って説明するのであれば、色(光)との繋がり、接触を失ってしまった私たちはまさに、このエントロピー増大の危機に直面しているということになります。

私たちがこの世に生を受けた時から、このエントロピーという自然法則は動き出しています。つまり、生まれたその瞬間から衰退がはじまっているということになります。表面的に見ていれば、生まれたその時から成長が始まるということになりますが、これを精神的な過程から見ると、その生まれた瞬間から精神的な破綻が始まるということになります。

エントロピー増大と精神の破綻

このエントロピーとは徐々に増大していき、それにともなって私たちの心も少しずつ壊れていきます。

これを先ほどのコーヒーで説明するならば、コーヒーの中にミルクを落としたその瞬間がある意味、一番そのミルクが濃く濃縮された状態にあるということになります。

でも、そのミルクが外側に向かって同心円を描きながら広がっていくとき、その濃さはどんどんと外にその同心円が広がっていくにつれて薄くなっていきます。これを色の記憶、光の記憶に置き換えて考えてみるとどういったことが見えてくると思いますか?

今現代に生きる私たちは、ほとんどミルクの味もしないような薄い状態のところに生きています。これはつまり、色の記憶を全く思い出すこともできない、つまり色(光)という最も秩序が保たれていた状態から最も遠くに遠ざかっている状態ということになります。

色(光)から最も遠ざかってしまった現代人

ミルクがそのエントロピー増大にともなってほとんど意味をなさない状態になるのと同じで、私たち人間もまた中心の最も秩序立った状態から徐々に広がり大きくなるにつれて、私たちの精神、心もまたほとんど機能しない状態になってしまっているということになります。

かつて持っていた色との絆、これを回復させたくても、エントロピーの自然法則によって、今現代に生きる私たちは、その絆を回復することができなくなってしまっています。

以前にも他の記事で書きましたが、色(光)というものと絆、繋がりがあって初めて私たち人間は真に生命を持った人間になることができます。

だとしたら、この色との記憶を思い出せないくらいにエントロピーが増大してしまっている現代人は一体どうしたらいいのか?ということなのですが、それはこの自然法則であるエントロピーの増大の法則、これを自らの努力によって減少させるほかないということになります。

エントロピー減少とは何か?

エントロピー減少とは私が考えるに最も濃密で濃厚な状態へ戻ることだと考えます。

すべてが完璧な状態であって何もかも秩序だっている世界、言ってみたらエデンの園みたいなものです。

その最も秩序だった状態から、私たちは混沌の中に落ちていき、そして、その混沌を現世においてより深いものにしていくということになります。

エントロピーの減少とは最もシンプルな状態に自分が還ること、それを意味します。

いかにしてエントロピーの減少を可能とするか?

エントロピーの減少は、先にも書きましたがこの世の自然法則に抗うものなので、それを自分の力で減少方向に向かわせるということは事実上無理なのですが、精神のエントロピー増大を減少させる方法は実はあるんです。

それは、自分の力で常に、自己を省みるということです。

もっと言えば、自分が最も濃密で凝縮された状態で生まれてきて、そこから、その濃密で凝縮された形(色、光)がどのように薄まっていったのか?ということを自分で自己分析を踏まえながら追跡していくということになります。

そうすることによって、少しずつ完全に忘れ去れていた色との繋がり、絆これを徐々に回復することが可能になっていきます。この作業はとても困難な作業であって、そう簡単に誰でもできるというものではないのですが・・。

精神のエントロピー減少とはいったい何を表しているのか?

精神のエントロピー減少、これを一言で言い表すのであれば、それは自身の中にある光(色の)の復活です。

自らのヒューマニズム、人間性の回復ということになります。

私たちはまず、自身の中での色との繋がりの記憶、これを回復する必要があり、その絆を自身の中で回復しながら、禅的な表現を使うのであれば、最終的にはその色が自分であるということを悟るということになります。

色、光、これは自分と完全に分断された別個のものととらえることではなく、自分自身が色であり、光であるということを認識することができた時、その人には実に大きな変容が起こります。

これは間違いないです。自分と完全に分断し、別個のものと認識していたそのすべてを自分であると認識できたとき、その時、私たちは本当の意味で人間としてこの世に生まれることができるということになります。

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